設立趣意

宮下格之助博士わが国における材料科学の研究は、戦前、磁石鋼を始め幾多の世界的研究開発が行われてきましたが、戦後は一転して、敗戦からの 再建のため、海外技術の導入に大きく依存し、これにより先進工業国への仲間入りを成し遂げ、 その成果の上に今日の隆盛と繁栄を導いてきたと言っても決して過言ではありません。 しかし乍ら、今や米国と並ぶ世界最先端の工業国として、自主技術の開発とそれによる国際社会への貢献が強く求められるようになり、 このためには、その基礎となる大学等を中心とする研究機関の学術研究の振興、充実が重要且つ緊急の課題でもあります。 中でも先端技術の開発に不可欠である新素材等の基礎研究の重要性がますます痛感されております。

わが国の研究投資は、近年急速に増加を見ているとはいえ、先進諸国に比してなお不十分なのが現状であります。 この度、ロール製造技術の基礎を世界に先駆けて確立した宮下格之助博士から、上述の状況改善の一助として、 材料科学の研究助成等を目的とする浄財醵出の申し出があり、 ここに財団法人材料科学研究助成基金(現: 公益財団法人 プロテリアル材料科学財団)を設立することと致しました。

当財団の活動を通じて、今後わが国の材料分野における創造的研究の発展と、ひいては世界の材料科学の発展に、 いささかなりとも貢献することができ得ることを切に念願する次第であります。

昭和61年11月10日

設立者一同